写真・図版
俳優の西田敏行さん=2007年、東川哲也撮影

 俳優の西田敏行さんが76歳で亡くなった。出演した「白い巨塔」(フジ系)や「連続ドラマW フィクサー」(WOWOW)などを手がけた脚本家の井上由美子さんは、西田さんから多くのことを学んだという。その思い出を語ってもらった。

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 2003年から放送した「白い巨塔」で、西田さんは主人公の義父、財前又一を演じました。

 西田さんはアドリブが多く、最初は驚きました。自分の書いたセリフより面白い。「もっと面白いセリフを書かなきゃ!」と思いました。西田さんに挑戦する気持ちで台本を書いたことを覚えています。

 コメディー的な「笑かし」というよりも、人間ってバカだなあとか、この役って本当にアホだなあ、みたいなことをやってくれた。悲喜劇の深みがありました。悲劇は喜劇だし、喜劇は悲劇、そういうことを教えてもらったような気がします。

 エンターテインメントである以上、シリアスだからといって重いことばかりやっていると、疲れたり、押しつけがましくなったりする。西田さんに学び、悲しい場面やシリアスな場面こそ、どこかに笑いを隠して見せていこうと思うようになりました。

 WOWOWで昨年放送された「フィクサー」のロケ場所で会ったのが、最後になりました。西田さんが演じたのは、政財界を操る黒幕の本郷吾一です。

 「お疲れさまです」とあいさ…

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